社長、社内恋愛は禁止のはずですが
私はオフィスの隅で、人目を避けて泣いていた。

努力を積み重ねても報われず、盗作の濡れ衣を着せられた悔しさに押し潰されそうだった。

その時、私の前に差し伸べられたのは社長の手だった。

「我が社の社員が盗作をするはずがない。」

静かに、それでいて揺るぎない声。

その一言に、どれだけ救われたことか。

誰もが疑う中で、ただ一人、社長だけが私を信じてくれたのだ。

直哉社長はすぐに動いた。

相手企業に調査委員を派遣し、徹底的に調べさせた。

しかもその費用はすべて会社負担。

たった一人の平社員のために、ここまでしてくれる人がいるなんて――。

やがて真実は明らかになった。相手企業が盗作をしていたのだ。

さらに社内に情報を流していた者の存在まで暴かれた。

裏で金を受け取り、スパイのように動いていた社員がいたらしい。

社長はそれを見逃さなかった。
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