社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「私も社長をずっと見て来たから分かるの。……あの人の視線は嘘をつかない。」

心に沁みるような言葉だった。

それでも完全に不安が拭えるわけじゃない。

――どうして、数多の女性を拒んできた直哉さんが、私なんだろう。

西野部長はふっと笑みを浮かべ、ドアの方へ歩いていった。

「ほんと、何が直哉さんの気持ちを、水城に向かわせたのか……教えて欲しいくらいだわ。」

その背中が見えなくなるまで、私は動けなかった。

胸の奥に残る不安と、ほんの少しの誇らしさを抱えながら――。
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