社長、社内恋愛は禁止のはずですが
そして直哉さんの腕が、しっかりと私の腰に回る。

「ほら、車に行くよ。」

そのまま駐車場を歩く姿は、誰が見ているか分からないのに堂々としていた。

高級車の前に立つと、直哉さんは片手でドアを開け、私の腰を軽く持ち上げた。

「はい、お姫様。」

思わず赤面しながら助手席に座らされる。シートに体が沈んだ瞬間、前にも味わった心地よさが蘇った。

胸がドキンと高鳴る。

「どうした?」ハンドル越しに覗き込むように聞かれ、私は思わず口を尖らせた。

「直哉さん、もう……私を溺愛し過ぎです。」

「ふっ。」

彼は満足げに笑い、私の頭を軽く撫でた。

「俺はいつだって、遥香と一緒にいたいんだよ。」

囁きは真剣で、心にじんわり沁みていく。

もう、抗えない。

シートベルトをカチリと締めると、エンジン音が低く唸りを上げた。

車は静かに走り出す。

その横顔を見ていると、社長ではなく“恋人”としての彼だけが、そこにいた。
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