社長、社内恋愛は禁止のはずですが
そう言って直哉さんは、付箋が貼られた企画書を丁寧に指でなぞった。

「ここを一緒に詰めていけば、絶対に通る。そう信じてる。」

真剣な瞳でそう言われ、私も強く頷いた。

「はいっ!」

大切な人と肩を並べて戦える――その事実が、何より嬉しかった。

そして今日も、直哉さんから秘密のメッセージが届いた。

『今日、帰りに社長室に寄って。』

スマホの小さな画面に浮かぶ文字。それだけなのに、胸が熱くなる。

「……はい」

誰もいないのに思わず声に出してしまい、慌てて頷いた。

何だろう。仕事の相談?それとも……また、あの甘い時間?

考えるだけで頬が熱くなる。私は自然と背筋を伸ばしてデスクに戻った。

「遥香、この案件、チェックお願いしたいんだけど。」

声を掛けてきたのは弥生だった。

任せていた案件のファイルを抱えている。

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