社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「あの人には、もう支えてくれる人がいるわ。」

西野部長の穏やかな言葉に、胸がじーんと熱くなった。

……知っているのだろうか。私が彼の“彼女”だということを。心臓が高鳴って、返事もできない。

「それに今回の人事はね、社長がどうしても私に支社を任せたいって言うから受けたの。」

「支社……ですか?」

思わず声が裏返った。

「支社長⁉」西野部長はクスッと笑った。

「最初は部長だけど、いずれはね。」

その笑顔は誇らしげで、どこか清々しかった。

栄転なのだ。私はその背中を、ただ眩しく見つめるしかなかった。

「私はね、何人もの社員が社長に泣かされてきたのを見てきたの。」

懐かしむような口調に、思わず息を呑んだ。

「でも泣かされた分だけ、強くなってここまで来られたのよ。だから水城――あなたも泣くことを恐れちゃだめ。あの人を支えるのは、簡単じゃないから。」
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