社長、社内恋愛は禁止のはずですが
肩にそっと置かれた手が、温かかった。

「きっと、あなたならできるわ。」

その言葉が胸に沁みて、涙が出そうになった。

西野部長の送別会は、企画部だけでなく営業部からも多くの社員が参加していた。

中でも南條は、グラスを片手にしみじみと語った。

「俺が初めて取引先を取ってきた時、企画を形にしてくれたのが西野部長だったんですよ。」

「また懐かしい話をしてくるじゃない。」

西野部長は笑ったが、その瞳の奥はどこか潤んでいる。

つい数年前まで第一線で活躍していた日々を、誰もが覚えているからだ。

その功績を支え、共に歩んできたのが直哉さんだと聞く。

会場の空気が和やかになった時――「西野。」

低く響く声に皆が振り返ると、そこには直哉さんがいた。
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