社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「懐かしいわ。高峰社長が営業で取ってきた案件を、いつも私が企画にしてたの。」

その一言に、私はピクッと肩を震わせた。

「……社長と同期だと聞きました。」

おそるおそる口にすると、篠宮部長は柔らかく微笑んだ。

「あら、知ってたの?そうなの。直哉が社長に就任する前の話よ。」

直哉――。

いくら同期でも、そんなふうに気軽に名前を呼ぶなんて。胸の奥がざわつく。

まさか……付き合っていたことがあるのでは。嫌な想像が頭をよぎり、心臓が早鐘を打った。

「粗方、直哉から聞いてるわ。」

さらりと言い放たれた言葉に、私は思わず息を呑む。

「……何を、ですか?」

声が震えないよう必死に整えて問い返す。

篠宮部長は、唇に指を添え、思い出すように遠くを見つめた。
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