社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「ほら、やっぱり来た。」

南條が苦笑した瞬間、ふと影が差す。

顔を上げると、高峰社長が企画部の入口に立っていた。

「……打ち合わせか?」

低い声に、空気が一瞬で引き締まる。

「新規取りました。」

南條が報告する。

その隣で私は固まったまま。

社長の視線が自分に向けられている気がして、息が詰まりそうだった。

「よくやった。」

高峰社長が南條の肩を軽く叩いた。

その声は低く落ち着いているのに、不思議と場の空気を支配していた。

「南條は、気さくでいいな。そういうところが仕事でも生きているんだろう。」

「ありがとうございます。」

誉められた南條は、素直に笑みを浮かべる。

――そんな同期の顔を横目に見ながら、私は妙に落ち着かない気分だった。

「で? 水城と何を話していた?」

……やっぱり、そこ!

鋭い問いかけに、私と南條は思わず顔を見合わせる。
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