社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「それで? バレたら一週間の謹慎処分?――あなたの考えそうなことだわ。」

篠宮部長は、大声で笑い飛ばした。その笑い声が、オフィスの壁に反響していやに響く。

「じゃあ、水城さんを謹慎処分にしなきゃね。」

「篠宮!」

直哉さんが立ち上がろうとするのを、私は慌てて腕で制した。

「じゃなかったら、他の社員に示しがつかないでしょ。」

その一言で、空気が決定的に傾いた。

次の瞬間、私は本当に――一週間の謹慎処分を言い渡されていた。

「すまない、遥香。かばいきれなくて。」

社長車の後部座席。窓の外に流れる街並みを見つめながら、直哉さんが悔しそうに顔を歪めていた。

強いはずの彼がこんな顔を見せるなんて。

「私のことなら……大丈夫です。」

そう言いながらも、胸の奥は痛かった。

仕事を奪われる悔しさよりも――直哉さんが私のために苦しんでいることが、何より辛かった。
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