社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「えっ……」

その言葉に、オフィス中がざわつく。

耳元で誰かが小さく息を呑む音まで聞こえた。

直哉さんはすぐに首を振った。

「いや、今水城を謹慎にすれば、新プロジェクトに支障が出る。」

その言葉に、胸がじんわり熱くなる。

私を守るように即座に否定してくれた――それだけで涙が出そうだった。

すると、そのざわめきの中にもう一つの声が響いた。

「えっ? 何? 社長、社内恋愛禁止にしてたの?」

篠宮部長だった。

彼女がゆっくりと前に進み出て、鋭い視線を直哉さんに向ける。

「自分が社内恋愛しているくせに?」

――確信犯!?

それとも本当に知らないで言ったの⁉

一瞬で血の気が引く。

社内の視線が一斉に私たちに集まり、息苦しいほどの圧力となってのしかかってきた。
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