社長、社内恋愛は禁止のはずですが
長い準備と直哉さんの厳しい指導の日々、悩んで眠れなかった夜の数々が、一瞬にして報われていく。

「これで我々も、水城さんの大切な思い出の一つになりましたかね。」

相手先の社長が、柔らかな笑みで問いかけてきた。

その言葉に胸がじーんと響く。

「はい、間違いなく。」

私は強く頷いた。震えるほどの緊張と喜びが入り混じる。

きっとこの瞬間を、そしてこのプロジェクトを、私は一生忘れないだろう。

直哉さんの横顔を見やると、彼も誇らしげに微笑んでいた。

そして直哉さんは、契約書をバッグの中に入れると、静かに立ち上がった。

「では失礼致します。」

私達は深く一礼して会議室を出る。

背筋を伸ばして歩きながらも、胸の内は喜びでいっぱいだった。

廊下に出た瞬間、直哉さんはふっと肩の力を抜き、ガッツポーズを見せた。
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