社長、社内恋愛は禁止のはずですが
心臓が跳ね上がる。だが直哉さんは落ち着いた様子で「ははは、まあ」と笑った。

否定しないその一言に、顔が一気に熱くなる。

「いいですね、恋人同士って。」

社長は嬉しそうに頷いた。

「私も妻とは同じ会社で知り合ったんですよ。」

その言葉に直哉さんは「そうなんですか」と相槌を打ち、自然な笑顔を返している。

私まで誇らしい気持ちになってしまった。

「公私ともにいいパートナーなんですね。」

社長が言い残し、軽く頭を下げて去って行った。

ほっと胸を撫で下ろすと、横から小さな声が聞こえた。

「恋人同士じゃなくて、婚約者なんだけどな。」

「えっ⁉」思わず振り返ると、直哉さんは当然のように笑っていた。

軽い言葉じゃない。

「何で驚くんだよ。そのつもりで一緒に暮らしてるんじゃないのか。」
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