社長、社内恋愛は禁止のはずですが
直哉さんの言葉に、心臓が跳ねる。

まるで当然のことのように言われて、私はしどろもどろになるしかなかった。

「あっ、ええっと……」

慌てる私を見て、直哉さんは余裕の微笑みを浮かべる。

その笑顔に胸がときめく。ずるい人。

いつだって余裕で、私を困らせて、翻弄してくる。

そのままエレベーターに乗り込み、無言の時間が続いた。

緊張と甘さが入り混じって、息苦しいほどだ。

やがて扉が開き、駐車場に着いた。

車に乗り込むと、直哉さんはハンドルに身を預け、ゆっくりと私の方を見た。

「なあ、遥香。」

「はい……」

胸が高鳴る。

「もう少し、遥香と一緒にいたい。」

低く落とされたその声に、鼓動が一気に跳ね上がった。

たった一言なのに、まるで告白されたみたいに。

私は視線を逸らしながら、小さく頷くしかなかった。
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