社長、社内恋愛は禁止のはずですが
連れて来られたのは、煌びやかなシャンデリアが輝く高級ホテルだった。

「ええっと……ここって、レストランじゃなくて?」

一瞬で顔が熱くなる。

高級ホテルといえば、もう食事どころじゃなく、その後の展開しか想像できない。

頭の中に「これって、もう最初から抱かれるってこと⁉」なんて言葉が浮かんでしまう。

動悸が速まる中、隣の直哉さんはちらりと腕時計を確認した。

「そろそろ時間かな。」

「えっ!」

私は慌てて後ろに下がった。直哉さんの腕がするりと私を抱き寄せる。

「待って、直哉さん……」

「なに?」

きょとんとした顔に、余計に頬が熱くなる。

「まだ……早いよ。」

勇気を振り絞って告げると、直哉さんは小首をかしげて微笑んだ。

「何言ってるんだ。時間だから、行かないと。」

――えっ、行く?どこへ?私の勘違い?心臓の音だけがやけに大きく響いた。
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