社長、社内恋愛は禁止のはずですが
手を繋いで案内された先は、高級ホテルの中にあるレストランだった。

「高峰様ですね、ご案内いたします。」

店員さんが恭しく頭を下げ、私達を窓際へと導く。そこには大きなガラス越しに煌びやかな夜景が広がっていた。

まるで宝石を散りばめたような光の海に、思わず息を呑む。

「素敵……」

心からの感想がこぼれると、直哉さんはふっと柔らかく笑った。

「そう言って貰えると、予約した甲斐があったよ。」

夜景が眼下に広がる高級ホテルのレストラン。

グラスの中で赤ワインが揺れて、キャンドルの灯が淡い影を作っていた。

「遥香。」

真剣な声音に呼ばれて顔を上げると、直哉さんの鋭くも優しい視線が、まっすぐに私を捕らえていた。

「今まで恋人として俺の隣にいてくれてありがとう。」
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