社長、社内恋愛は禁止のはずですが
他の客がいるのに、世界には私と直哉さんだけしかいないような錯覚を覚えた。

「婚約者……」

胸の奥で呟くと、彼は真剣な眼差しで頷いた。

「そうだ。恋人の時間はもう十分だ。俺には遥香しかいない。君と一緒に未来を作りたい。俺の家も、会社も、そして人生も……全部を共にしてほしい。」

テーブルに置かれた小さなケースを、直哉さんはゆっくりと開いた。

中には、きらめくダイヤの指輪が輝いていた。

キャンドルの灯りを反射して、宝石が星のように瞬いている。

「遥香。俺と結婚してくれるか。」

喉が詰まって声にならなかった。

夢みたいだ。ずっと想い続けてきた人から、こんな言葉を貰えるなんて。

「……私なんかでいいんですか。」

震える声でやっと返すと、直哉さんは苦笑して首を横に振った。
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