社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「……頑張り屋さんなんだな。」

熱を帯びた声に、胸が跳ねる。

顔が近づいてきて――あ、キスされる……!

その時だった。

「――あっ、まだ開いてた!」

思わず体が硬直する。

ドアの隙間から現れたのは、岸本さんだった。

社長と一緒に慌てて、デスクの下に隠れた。

「やっぱり忘れもの取りに来てよかったですね。」

続いて顔を出したのは加藤さん。

「早く行きましょう、部署内の飲み会始まりますよ。」

「えっ……飲み会⁉」

頭が真っ白になった。そんなの私、聞いてない。

気まずい空気が一瞬で流れる中、握られていた社長の手が、静かに離れていった。

心臓の鼓動だけが、なおも止まらず耳の奥で鳴り響いていた――。

「っていうか、誰か水城さんを誘いましたか?」

佐沼さんが皆に問いかける。
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