本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
望が眠りについたのを見届けた莉乃は、安堵と達成感、脱力感が入り混じった息を静かに深く吐いた。
子育ての大変さは知っているつもりだった。身近でつぶさに見てきたわけではないが、そんな情報はあらゆるところに溢れている。
しかし、それを知っているのと実際に経験するのとでは、まるでべつの話だった。
望を保育園に迎えに行き、夕食を作って食べさせ、お風呂に入れ、遊んでから寝かしつける。それら一連のミッションは、今まで経験したどんな仕事よりも難しいものだった。
自分の思うとおりに進まないもどかしさはもちろん、秒単位で取捨選択を迫られる。帰宅してから今の時間まで、同時にいろんなことを処理するマルチタスク能力を試されている気分だった。
(青葉さん、いつももっとさらっとこなしてたわよね?)
莉乃が見てきた青葉は、ドタバタもなければ焦りもない。とにかくすべてにおいてスマートだった。
それに引き換え、今日の自分はどうだったか振り返ると、ずっとてんやわんやだった。望の言動にいちいち慌てていた様は、青葉とは天と地ほどの差がある。
(でも、なんだろう。この疲労感は嫌いじゃないわ)
仕事で得たものとは違う感覚だ。
おにぎりセイバーの顔をケチャップで書いたオムライスを喜んで食べる望を思い返し、自然と笑みが零れる。