本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 咄嗟に澄ました顔をして答えたが、陳腐な言葉に自分で呆れる。
 男性はぷはっと吹き出した。


 「キミ、おもしろいね」

 (……あれ? 好感触?)

 「よかったら一緒に飲まない?」


 男性は莉乃の返事も待たずに隣の椅子に移動してきた。
 タイミングよくスプモーニがカウンターに置かれ、男性がそのグラスと莉乃を交互に見る。おそらく乾杯の催促だろう。
 グラスを手に取ると、彼はすかさずグラスを近づけてチンと音を鳴らした。
 口をつけたスプモーニはいつものようにおいしい。


 「キミ、名前は?」
 「……莉乃」
 「ここ、よく来るの?」
 「割とまあ、そうですね」

 プライベートはもちろん、仕事でも何度か。莉乃のお気に入りの店のひとつだ。


 「前に見かけたことがあるよ。綺麗な子だなって思ったから覚えてる」
 「えっ、あ、ありがとう」
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