本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 早く本題に入りたいため、先を促すが。

 「まあ、契約の話はゆっくり進めていきましょうか。焦る必要はありませんしね、夏目社長?」


 山城は杯を手に取り、わざとらしくゆっくりと口に運んだ。
 この場では即答を避けるつもりなのか。莉乃は、その余裕たっぷりの態度にかえって警戒心を煽られるのを感じた。

 先付、椀物、煮物と料理は順調に進んでいくが、山城は一向に契約に切り出さない。かわりに彼は自身のこれまでの仕事ぶりや、人脈の広さについて語り続けていた。


 「この業界で長くやっているとね、いろんな人間を見るわけですよ」


 山城は杯を軽く揺らしながら、意味深に笑う。


 「成功する人間には共通点がある。運をつかむ力……いや、正確には運を引き寄せる勘の良さだな」


 その言葉の裏に何を含ませているのか。莉乃は箸を手にしながら、あえて表情を変えずに聞き流した。


 「夏目社長は、どう思いますか? こういう話、お好きですかね」
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