本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 山城の視線が、さりげなく莉乃を探るように動く。
 契約の話はまだだが、この言葉の流れは、どこへ向かおうとしているのか。


 「あの、山城社長」
 「このあともお時間はありますか?」


 そろそろ本題にと言いかけたが、山城が遮る。笑みを深め、ゆっくりと肘を突いた。


 「夏目社長、そんなにビジネスの話ばかりでは息が詰まってしまいますよ」


 その視線はどこか値踏みするよう。


 「まずはお互いをよく知ることが、大切じゃありませんか? たとえば、ここではないどこかべつの場所で」


 莉乃は表情を崩さず、視線だけをすっと外した。


 「私にとっては、契約の話こそが一番大切なことです」


 静かにそう告げると、山城はふっと短く笑った。まるで、面白がるように。
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