本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 「……すみません、そろそろ失礼します」


 莉乃は静かに箸を置き、すっと背筋を伸ばした。
 このままここへいても話は進まないと察したのだ。


 「おや、もうお帰りですか?」


 山城はわずかに目を細め、グラスの縁を指でなぞる。


 「せっかくの機会ですし、もう少しゆっくりしていかれたら?」
 「夫と子どもが待っていますので」


 莉乃の声は穏やかだったが、その言葉には迷いがなかった。


 「ほう、ご主人が。たしかネクサスブランディングの社長だとか。なかなかのやり手と聞いてますよ」


 山城は少し笑い、残された酒をゆっくりと口に運ぶ。


 「ご家庭を大切にされるのは素晴らしいことですね。……まあ、契約の話はまた改めてということで」
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