本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
タクシーを降り、マンションを見上げた。結論の出ない山城との会食に疲れ、足が鉛のように重い。
山城は契約を結んでくれるだろうか。
不安が胸の奥にじわりと広がる。
山城の曖昧な笑み、はぐらかすような言葉の数々。あのまま話が進むのか、それともこのまま時間だけが流れていくのか。契約を結ぶ意思はあるのか、それともただ試されているだけなのか。
夜風が頬を撫でる。冷たいわけではないのに、なぜかひんやりと感じた。
マンションのエントランスへ向かいながら、深く息を吐く。こんなことで気を揉むのは、時間の無駄だ。やるべきことは揺るがない意志を持って、次の一手を打つこと。
ほんのわずかに胸の奥に残る不安を振り払うように、歩を速めた。
帰宅したリビングのソファに青葉の姿があり、なぜか妙にほっとする。
「ただいま」
「おかえり。……なんか疲れてる?」
「ちょっとだけ」
親指と人差し指の間に隙間を作って示す。
「山城社長となにか?」
「……あぁううん、大丈夫」