本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 このままでいいのだろうか。
 青葉が砂場に視線を戻すと、望はまたスコップを動かし、次第に夢中になって遊びに戻っていた。

 望は母親を欲しているのだろうか。

 その問いの答えを、青葉はまだ持っていなかった。ただ、変わるべき時が来ているのかもしれない。そんな予感に包まれた。

 マーケティングを依頼される形で莉乃と出会ったのは、そんな矢先だ。

 莉乃は一瞬で状況を把握し、最適な判断を下せる人物だった。自社の自然派化粧品について語る声に迷いがなく、的確なデータを交えて話すその姿に青葉は聞き入った。

 論理的でありながら情熱のある言葉、即断即決の判断力、たしかな市場眼、そして芯の強さ、それらすべてが莉乃の有能さを象徴するものだった。
 信頼のおける仕事のパートナーと出会えた。
 そう考えていたある日、彼女から思いがけない言葉が飛び出す。


 『私と結婚しませんか?』


 予想もしない言葉に、青葉は眉をひそめた。
 しかし彼女のプロポーズは、本来のものとは本質が違っていることにすぐに気づかされる。

 結婚とは通常、愛を土台に築かれる関係である。だが彼女が必要としているのは、感情ではなく〝結婚〟という社会的な枠組みだった。
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