本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
雨音は遠く、小さく響いている。
リビングのソファでは望が莉乃の腕に寄り添い、ふたりとも穏やかな寝息を立てていた。
遊び疲れたのだろう。望の小さな指は莉乃の服をぎゅっと握ったまま離れず、彼女もその腕をゆるやかに添えている。その光景は、まるで本当の母子のようだった。
青葉は、それをただじっと見つめていた。
これまで何度か、ふたりがこうして寄り添う姿を見てきたはずだった。だが、今日は違う。なぜか胸の奥に熱を帯びた感情がじわじわと広がっていく。
莉乃は望にとって母親の役割として必要な存在。そう思っていたはずが……。それ以上の想いが込み上げてきた。
彼女の優しさ、望を包み込むぬくもり。忙しい日々の中でも、莉乃はいつもどこかやわらかな空気を纏っていた。
(俺はいつから、こんなふうに彼女を見ていた?)
保育園の運動会で、彼女の頬に軽くキスをしたときのことをふと思い出す。
それは、ちょっとしたいたずらのつもりだった。彼女の初心な反応に触発され、軽い出来心だった。だが、ほんの数秒後、自分がなにをしたのかを意識して青葉は戸惑った。
莉乃は莉乃で驚いたようにこちらを見つめ、頬を赤らめていた。