本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
はぁと重いため息が莉乃の唇から零れる。
(私はなにをやってるの……)
その日帰宅した莉乃は、青葉が作ってくれた夕食を食べながら自己嫌悪に陥っていた。
結論から言うと、青葉と由佳の尾行は失敗に終わった。途中でふたりはタクシーに乗り、莉乃たちの前から一気に遠ざかってしまったのだ。
追いかけようにもタクシーが捕まらず、諦めざるを得なかった。
(そもそも青葉さんが誰と会おうと私には関係ないじゃない。戸籍上は妻でも、愛のない契約上のもの。実体はないんだから)
そう言い聞かせて自分を丸め込もうとするが、心の奥にくすぶる違和感は消えてくれない。箸を持つ手がふと止まり、視線が皿の端へと落ちる。
(……本当に関係ない? 本当にそう割り切れる?)
青葉の隣にいた由佳の笑顔を思い出す。その自然な距離感と、互いに息を合わせるような会話。そんなものを目にしたあとでは、関係ないと言い聞かせること自体が、どこか虚しく思えてくる。
「りの、たべないの?」
望の何気ない問いかけに、莉乃ははっとして顔を上げた。