本日、仕事のために愛されママになります~敏腕社長は契約妻への独占愛を手加減しない~【愛され最強ヒロインシリーズ】
 思わず声が漏れる。扉の向こう、畳敷きの上にベッドがしつらえてあったのだ。

 心臓が強く脈を打つ。目の前の状況があまりにも露骨で、頭の中は真っ白だ。しかし、すぐに冷静さを取り戻そうと深く息を吸った。

 山城の視線を正面から受け止め、動揺を隠すために唇を軽く噛む。


 「山城社長、これはどういう意味でしょうか?」


 抑揚を押さえ、低い声で問いかける。感情を表に出さないよう、必死に自分を制御した。
 山城は引き戸の枠に片手を突き、まるでその場を支配するかのような余裕のある笑みを浮かべる。


 「夏目社長、ビジネスの世界では信頼関係がなにより大事なのはご存知だと思いますが。契約書も大切ですが、それ以上に、こうして直接向き合って心を通わせることが、長いつき合いの第一歩になるんですよ」


 彼の言葉は滑らかで、まるで当たり前の提案をするかのように聞こえたが、その裏に潜む意図はあまりにも明らかだった。

 胃が締めつけられるような感覚に襲われる。怒りと屈辱が胸の中で渦巻き、しかし同時に、この状況をどう切り抜けるかという計算が頭を駆け巡った。
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