船瀬さんの彼女、村井さん。
昼休憩
半年間続いた地獄のプレゼンが、ようやく終わった。
無事に私の案が採用され、リーダーとしてプロジェクトを進めていくことになり、また1つ責任が増えたけど今はとにかく嬉しい。
「これからが大変だと思うけど、みんな居るからな」
心強い励ましと応援の言葉をもらったところで、昼休憩のチャイムが鳴り、周りの人が社員食堂や外食のために席を立つ中、給料日前で贅沢ができない私は、自分の席で手作り弁当を食べる。
お昼の1時間は、電気代削減のため全館消灯されて、人が居なくなる。若干暗いところで食べるわけだけど、静かに喜びを噛み締めたかった私にとって、この状況は好都合だ。
「いただきます。…んんいぃやったぁー!」
こんなことを叫んでも、誰にも迷惑をかけない。喜びを体から滲み出させてから、席に着いてご飯を食べた。
良いことがあった日のご飯は、日常のメニューと変わらないのに、特別美味しく感じる。ちゃんと味がする。
「今日はご褒美に、昼寝しようかな」
会社では、ご飯を食べるか仕事するかトイレに行くかしかしていなかった、ここ数ヶ月。
このくらいのご褒美、私にとっては大きいこと。今日は良いよね。
久しぶりの味のあるご飯を堪能して、机の上を片付けると、机に突っ伏す。
誰の声も聞こえない、静かなオフィス。深呼吸を何度か繰り返したところで、意識が遠のいた。
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