船瀬さんの彼女、村井さん。
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遠くでチャイムが聞こえる。もう休憩が終わったんだ。
ようやく取れた休憩時間は、30分ほど。何もしない、何も考えない。最高の休憩だった。
「おーい。休憩終わったよ」
「んー…。はい」
最高の時間をもう少し堪能していたくて、チャイムは聞こえていたけど、顔を上げなかった。
プレゼンが終わって、私が疲れ切っていたことは、部署のみんなが知ってくれていたし、甘えさせてもらおうと思ったけど、社会人はそんなに甘くないよね。
まだ起ききっていない頭を上げて、周りを見渡す。
「おはよー」
「っ、船瀬さん…」
私を起こしてくれたのは、同期の船瀬さん。好きな人。
同期の村井さんと付き合っているらしく、3人しかいない同期なのに、避けられているみたいで寂しい。
だからと言って、私が船瀬さんと付き合ったら、今度は村井さんが可哀想なんだけど。
「プレゼン選ばれなくて、ショックなのは分かるけどさ。上すぎただけだから」
「プレゼン…?いや、選ばれたの、私だよ」
「何言ってんの(笑)寝ぼけてる?」