船瀬さんの彼女、村井さん。



私ってこんな、いかにも困り顔っていう表情するんだって、変に冷静になって見てしまったけど、私は押谷から村井さんになってしまったの?


じゃあ私の体には、村井さんが居る?でも押谷って言ってた。躊躇いもなく、乗り移ってる感じもなかった。


私が幽体離脱して、私の体と村井さんの体に居るの?


さっぱり、理解できない。

とりあえず村井さんの席に座ったけど、追いついていけない。でも仕事はやらなきゃ。



何する?感覚は押谷だし、採用された案を進める?でも村井さんの体で仕事するなら、村井さんがしている仕事をしなきゃ。


私の席に座る、誰か分からない押谷を見ると、頭を抱えてパソコンに映る、採用された案の詳細の資料を作っていた。


変な感覚。押谷の脳内なのに、体は村井さん。しかもこれ、いつまで続くのか分からない。



明日になったら戻るかな?今日だけならどうにか我慢するけど、これからずっと村井さんなら、せっかく採用されたプレゼン、乗っ取られたみたいになるじゃん。



「…コーヒー飲もう」



起床5分、落ち着きを取り戻したくて、給湯室でコーヒーを淹れた。

立ち尽くして、もし村井さんとして生涯を終えることになるならなんて考えを巡らせる。


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