凪がくれた勇気
それなら文明の利器を使おうと、
スマホに文字を打って会話しようともした。

が、

歩侑(ふう)
「え…と…。」

ピ、ピ、

同級生
『もうちょっと早く打ってくれない?』

歩侑(ふう)
「ご…ごめ…。」

ピ…ピ…

同級生
『…私もうすぐ行かなきゃいけないから。』

私はスマホの使い方がヘタすぎて、
いくら練習しても文字を打つのが遅いままだった。

文字の手書きは早いのでメモ帳での筆談はできたが、
そんな私に付き合ってくれる友達はなかなかできなかった。

歩侑(ふう)
「ハァ…明日から市立図書館に行こう。」

市立図書館がキライなわけじゃないが、
なんとなく怖い。

ほぼ学校関係者しかいない学校の図書館より
ハードルが高い気がする。

もしかして、私は大人が怖いのだろうか?

なんにせよ、憂鬱な夏休み中も
入り浸れる場所があることが救いだった。
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