凪がくれた勇気
歩侑(ふう)
「聞けなかったな…連絡先…。」

もし私が今も清凪(せな)くんと
連絡を取り合う関係になれていたら?
もし定期的に逢える関係になれていたら?

私と清凪(せな)くんが親しくなる世界線を
頭の中で描こうとしても、

歩侑(ふう)
「あれ…?おかしいな…想像できないや。」

ひと夏だけ、あんなに近くにいたのに。

床に落ちた本を取ってもらった時、
指と指が触れ合うくらいに。

歩侑(ふう)
「……清凪(せな)くん……。」

ポロ、ポロ、

歩侑(ふう)
「……がんばって……!」

そっか…ひと夏の魔法は、もう解けたんだ。
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