ろくな死に方しねぇから
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「宮間くんと蓑島くんだったら、正直どっち派?」
「えー、私は断然宮間くん派。宮間くんの方が一緒にいて楽しそうじゃん」
「私も宮間くんかな。蓑島くんはね、ちょっと、とっつきにくいっていうか、怖い感じがするよね」
「分かるよそれ。何考えてるのかさっぱりだし、めちゃくちゃ無愛想だよね」
「そうそう。もう少し愛想良くしてくれたら……、あっ……」
気配に気づき顔を上げた女子が、あ、の口のまま目を見開いた。つられた他の女子も目を上げる。揃いも揃って、あ、の形に口を開き固まった。流れる沈黙。盛り上がっていた女子トークの熱が急激に冷めていく。空気がみるみるうちに悪くなっていく。
自分が原因なのだろうと分かっていたが、構うことなく無言を貫く蓑島律輝は、固まっている女子たちの隣の席に座った。後列の窓側の席である。持参したバッグを机の横の金具に引っ掛けた。
女子たちは、今し方噂をしていた人物を前に気まずそうに顔を逸らし、ちらちらと目を合わせてそそくさとその場を離れた。律輝の隣の席である女子も一緒になって付いて行った。律輝は自分に背中を向ける女子たちを一瞥する。
誰かに気に入られたいとは思わない。故に、愛想良くするつもりはない。人の顔を見るなり逃げるような失礼な人間に、愛想良くしたいとも思わない。
女子に限らず男子も自分から距離を置くが、気にしなかった。寧ろ、これでいい。これがいい。一人でいる方が気楽だ。どうせ、裏で自分が何をしているのか知ったら離れていく人たちだ。一緒に話題に上がっていた男のことも、何も知らない人たちだ。
「えー、私は断然宮間くん派。宮間くんの方が一緒にいて楽しそうじゃん」
「私も宮間くんかな。蓑島くんはね、ちょっと、とっつきにくいっていうか、怖い感じがするよね」
「分かるよそれ。何考えてるのかさっぱりだし、めちゃくちゃ無愛想だよね」
「そうそう。もう少し愛想良くしてくれたら……、あっ……」
気配に気づき顔を上げた女子が、あ、の口のまま目を見開いた。つられた他の女子も目を上げる。揃いも揃って、あ、の形に口を開き固まった。流れる沈黙。盛り上がっていた女子トークの熱が急激に冷めていく。空気がみるみるうちに悪くなっていく。
自分が原因なのだろうと分かっていたが、構うことなく無言を貫く蓑島律輝は、固まっている女子たちの隣の席に座った。後列の窓側の席である。持参したバッグを机の横の金具に引っ掛けた。
女子たちは、今し方噂をしていた人物を前に気まずそうに顔を逸らし、ちらちらと目を合わせてそそくさとその場を離れた。律輝の隣の席である女子も一緒になって付いて行った。律輝は自分に背中を向ける女子たちを一瞥する。
誰かに気に入られたいとは思わない。故に、愛想良くするつもりはない。人の顔を見るなり逃げるような失礼な人間に、愛想良くしたいとも思わない。
女子に限らず男子も自分から距離を置くが、気にしなかった。寧ろ、これでいい。これがいい。一人でいる方が気楽だ。どうせ、裏で自分が何をしているのか知ったら離れていく人たちだ。一緒に話題に上がっていた男のことも、何も知らない人たちだ。
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