Edge Of A Broken Heart 〜最悪続きのあとに〜
 最寄り駅に着くと、人混みをすり抜けながら、通りの向こう側のバス乗り場まで向かう。
 乗り場に着いたと同時に、乗り継ぎのバスがやってきた。
 いつもはもっと待たされるのに、今日は早いなと思いつつ乗り込んだ。
 一番前の席に座り、ぼんやりと車窓を眺める。彼氏である尾上のアパートへと向かうこのルートは、すっかり見慣れた景色だ。
 音大を卒業し、社会人二年目。そこそこの大都市とはいえ、マイカーがないと少し不便に感じることもある。
 彼氏の部屋まで、車なら20分もあれば着くのに、バスだと2時間近くかかってしまう。
 とはいえ、音楽教室のギター講師は、あまり稼ぎがよくないので、マイカーを持てば生活がかなり苦しくなる。
 バスを降り、時計を見遣ると、予定より30分も早く着いてしまった。
 おかしいな⋯⋯と思い、交通系アプリをチェックしたところ、今日は、イベントの関係で増便していたようだ。
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