Edge Of A Broken Heart 〜最悪続きのあとに〜
 気づかなかった⋯⋯。しかし、遅刻するよりはいいだろう。
 尾上からは合鍵を渡されており、自由に使っていいと言われている。付き合いが長いので、あまり遠慮がなくなっている感じだ。
 部屋の前に着き、チャイムを鳴らしたが、反応がない。体調でも悪いのかと思い、合鍵でドアを開けた。
 玄関には、大学時代に同じ学生会館で、尾上と共通の友人でもある涼子が居た。
「やだ、菜摘が来ちゃった!まだ早くない!?」
 涼子は、乱れた髪を直しながら、ギョッとしたように言う。涼子の肩越しでは、尾上がパンツ一丁で青ざめている。
 私のことを押しのけ、涼子は逃げるように部屋を出て行った。
 これが一体どういう状況なのか、理解するまでに少し時間がかかったが⋯⋯。
「ねえ。涼子とナニしてたの?」
 尾上は、真っ青な顔にパンイチという、実に情けない姿で、
「いや⋯⋯これは違うんだよ!」
「違うって?ナニが?」
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