本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
これなら外回りの途中でも思い切って渡せばよかった。

いやいや、渡さなくてよかった。

山下のあの表情を見て、自分に可能性があったと考えるほうが無理だろう。
所詮私はただの後輩ということだ。

乾いた笑いを噛み殺しながら、バッグをデスクの足元へと置いた。

「今更ですけど、山下さん誕生日おめでとうございます。
よかったら仕事進めときましょうか?さっき約束されたんでしょ?
あとは今日の岡部様依頼分の対応で大丈夫ですか?」

ほんと今更だよ自虐的だなと思いながら、そわそわと時間を気にする山下へ思わず声をかけてしまう。
山下は申し訳なさそうにしながらも、今度昼メシ奢るよ、と笑顔でフロアを後にした。


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