本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
案の定山下は話しかけたそうにこちらを伺っているが、茉琴は気づかないふりをして仕事を始める。午後からは山下さんと外出だから、この話題は避けられないだろうな。
今は仕事だ。
茉琴は昨日やり残した分を片付けるために、ひとまず余計なことは考えないことにした。

デスクについてからは誰からも邪魔されることなく茉琴の午前の業務は順調に終わった。

昼休憩をとり14時のアポイントに合わせて、山下と会社を出る。
茉琴は何を聞かれるかと気構えていたが、意外な話に言葉を失った。


「お前、神谷相手になんかやらかしたのか?」

山下は顔を曇らせている。

「え?神谷に、ですか?」

「ああ。
昨日お前と松岡が帰った後に神谷が戻ってきて、水野は帰ったのか?ってピリついてたぞ」

心当たりがあるとすれば、やったのではなく、何もやらなかったからだ。
圭人の様子を思い浮かべて気持ちが沈む。

< 63 / 95 >

この作品をシェア

pagetop