本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
「ちょっと、用があって…」
何とも言いようがなく言葉に詰まる。
松岡は満面の笑みを浮かべ、一課の階ボタンを押す。
「圭人に会いに来たんでしょ?」
茉琴は否定することもできず黙り込んだ。
松岡はそれ以上何も言わない。
土曜のオフィスで上に向かうエレベーターは途中どこにも停止せずに目的階へと到着する。
静かに扉が開くと、ほらと松岡に促され、茉琴はエレベーターを降りる。
「あいつ、デスクにいるよ」
松岡はじゃあ、と真琴に手を振る。
扉が閉まるとエレベーターはまた下降を始めた。
しばらくエレベーターの前で立ち尽くしていたが、思い切ってフロアへと足を進めた。