本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
本来なら休日のフロアは静まり返っている。
二課は海外との取引で勤務がずれ込むこともあると聞くが、一課はプロジェクトにより予定が変わる。
スケジュールでは数名出金を確認していたが、フロアには圭人一人のようだった。
一角だけ電気のつけられたデスクで、圭人が電話を片手にパソコンのモニターを見つめているのが見えた。
茉琴のデスクとは逆側に置いたモニターを難しい顔でのぞき込んでいる圭人。
話の内容から、電話で打ち合わせをしているのがわかる。
茉琴は圭人の電話の邪魔にならないように圭人のデスクとは逆側から静かに自分のデスクに近づくと、ゆっくりと椅子を引き小さくなって腰かけた。
音をたてないようにじっと座っていると、資料を開くために振り返った圭人と目が合う。
圭人は目を見開き、電話を落としそうになる。
茉琴は声を上げそうになったが、寸でのところでこらえ、押し黙る。
圭人は何事もなかったようにまたいつもの表情に戻ると、そのまましばらく電話での打ち合わせを続けた。