温厚専務の秘密 甘く強引な溺愛
柔らかな光に包まれて目を覚ましたとき、波瑠は自分がまだ圭吾の腕の中にいることに気づいた。
静かな寝息と、重なる体温。
それだけで胸がじんわりと熱くなる。
「……おはよう、波瑠」
寝起きの低い声が耳元に落ちる。
「……おはようございます」
赤くなりながら応えると、圭吾は微笑み、頬に口づけを落とした。
「誕生日おめでとう」
涙がこみ上げ、思わず瞬きを繰り返す。
(本当に……夢じゃないんだ)
「波瑠、今日と明日の予定は?」
ベッドの端に腰をかけた圭吾が、静かに尋ねる。
「……特にないですけど」
少し恥ずかしそうに答えると、圭吾は短く頷いた。
「そうか」
それだけ言い残して、寝室を出ていく。
去っていく背中を見送った瞬間、波瑠の胸が熱くなる。
シャツ越しに見えた背筋、無駄のない引き締まった肩や腰。
(……私、昨日あの体に抱かれたのね……)
思わず顔を両手で覆い、真っ赤になった。
羞恥と甘い余韻がないまぜになって、胸の奥がくすぐったく疼く。
バスルームから立ちのぼる湯気とともに、波瑠はゆっくりと出てきた。
白いバスローブに身を包み、まだ火照った頬を指先で押さえながら、リビングに足を踏み入れる。
その瞬間、ドアベルが鳴った。
「ちょうどいいな」
圭吾が立ち上がり、応対に向かう。
ルームサービスのスタッフが次々とワゴンを押し込み、テーブルの上に朝食が並べられていく。
温かいパンの香り、鮮やかなフルーツ、グラスに注がれるシャンパン、まるで祝宴のような朝食だった。
「……こんなに豪華なもの、二人で食べきれるはずありません」
波瑠は恥ずかしそうに笑う。
バスローブの襟元を無意識に押さえる仕草が、彼女自身を余計に艶やかに見せていた。
圭吾は椅子を引き、波瑠を座らせながら言う。
「いいんだ。君の誕生日だ」
そして、グラスを一つ手に取り、彼女の前に差し出した。
「改めて、誕生日おめでとう」
テーブルの向かいで、波瑠が幸せそうにパンを頬張っているのを眺めながら、圭吾はふと口を開いた。
「……朝食のあと、少しゆっくりしてからスパへ行ってくれ」
「え……?」
フォークを止め、波瑠が目を瞬かせる。
「フェイシャルとマッサージを予約しておいた。スパ内のジャグジーやサウナもなかなかいいぞ。ランチとして軽食も出る」
「……そんな、私なんかに……」
言いかけた波瑠に、圭吾は穏やかに、けれど強い響きを持って遮る。
「遠慮は不要だ。誕生日だろう」
波瑠の胸が熱くなる。
どこまでも用意周到で、強引なのに温かい。まるで全部、自分の望みを先回りして叶えられているようだった。
圭吾はカップに口をつけ、最後にさらりと言い添える。
「……すべてのトリートメントが終わったら、君宛に服が届く。それを着て、ホテルロビーで待っていてくれ。俺が迎えに来る」
「……専務……」
声が震える。
贅沢で甘やかな一日の幕開けに、波瑠の心はもう抗えなかった。
「……専務じゃないだろう?」
圭吾の低い声が、波瑠の胸に響いた。
視線を逸らそうとする彼女の顎を軽く持ち上げ、まっすぐに見据える。
「俺のことを、どう呼ぶんだ?」
波瑠の喉が小さく震える。
(どうしてこんなに、心臓が苦しいくらい高鳴るんだろう……)
潤んだ瞳のまま、かすかに声を震わせて答えた。
「……圭吾さん」
一瞬、圭吾の目が深く揺れる。
そしてゆっくりと笑みを浮かべ、囁いた。
「……そうだ。だが、“さん”はいらない」
彼の指が頬をなぞり、唇が耳元に近づく。
「圭吾、でいい」
波瑠の胸の奥で、何かが決定的に溶けていった。
「……無理です。ほかの人の前で呼び捨てなんて……」
波瑠は真っ赤になりながら首を振った。
圭吾は一瞬目を細め、彼女の反応を愉快そうに眺める。
そして、ふっと口元を緩めた。
「わかった」
低く甘い声が耳をくすぐる。
「……二人の時だけでいい」
その言葉に、波瑠の胸が熱くなる。
(ふたりの時だけ……私だけが呼べる呼び方……)
羞恥と嬉しさが入り混じり、波瑠はそっと唇を開いた。
「……圭吾」
その一言に、圭吾の瞳が深く燃える。
彼は彼女を強く抱き寄せ、満足げに微笑んだ。
静かな寝息と、重なる体温。
それだけで胸がじんわりと熱くなる。
「……おはよう、波瑠」
寝起きの低い声が耳元に落ちる。
「……おはようございます」
赤くなりながら応えると、圭吾は微笑み、頬に口づけを落とした。
「誕生日おめでとう」
涙がこみ上げ、思わず瞬きを繰り返す。
(本当に……夢じゃないんだ)
「波瑠、今日と明日の予定は?」
ベッドの端に腰をかけた圭吾が、静かに尋ねる。
「……特にないですけど」
少し恥ずかしそうに答えると、圭吾は短く頷いた。
「そうか」
それだけ言い残して、寝室を出ていく。
去っていく背中を見送った瞬間、波瑠の胸が熱くなる。
シャツ越しに見えた背筋、無駄のない引き締まった肩や腰。
(……私、昨日あの体に抱かれたのね……)
思わず顔を両手で覆い、真っ赤になった。
羞恥と甘い余韻がないまぜになって、胸の奥がくすぐったく疼く。
バスルームから立ちのぼる湯気とともに、波瑠はゆっくりと出てきた。
白いバスローブに身を包み、まだ火照った頬を指先で押さえながら、リビングに足を踏み入れる。
その瞬間、ドアベルが鳴った。
「ちょうどいいな」
圭吾が立ち上がり、応対に向かう。
ルームサービスのスタッフが次々とワゴンを押し込み、テーブルの上に朝食が並べられていく。
温かいパンの香り、鮮やかなフルーツ、グラスに注がれるシャンパン、まるで祝宴のような朝食だった。
「……こんなに豪華なもの、二人で食べきれるはずありません」
波瑠は恥ずかしそうに笑う。
バスローブの襟元を無意識に押さえる仕草が、彼女自身を余計に艶やかに見せていた。
圭吾は椅子を引き、波瑠を座らせながら言う。
「いいんだ。君の誕生日だ」
そして、グラスを一つ手に取り、彼女の前に差し出した。
「改めて、誕生日おめでとう」
テーブルの向かいで、波瑠が幸せそうにパンを頬張っているのを眺めながら、圭吾はふと口を開いた。
「……朝食のあと、少しゆっくりしてからスパへ行ってくれ」
「え……?」
フォークを止め、波瑠が目を瞬かせる。
「フェイシャルとマッサージを予約しておいた。スパ内のジャグジーやサウナもなかなかいいぞ。ランチとして軽食も出る」
「……そんな、私なんかに……」
言いかけた波瑠に、圭吾は穏やかに、けれど強い響きを持って遮る。
「遠慮は不要だ。誕生日だろう」
波瑠の胸が熱くなる。
どこまでも用意周到で、強引なのに温かい。まるで全部、自分の望みを先回りして叶えられているようだった。
圭吾はカップに口をつけ、最後にさらりと言い添える。
「……すべてのトリートメントが終わったら、君宛に服が届く。それを着て、ホテルロビーで待っていてくれ。俺が迎えに来る」
「……専務……」
声が震える。
贅沢で甘やかな一日の幕開けに、波瑠の心はもう抗えなかった。
「……専務じゃないだろう?」
圭吾の低い声が、波瑠の胸に響いた。
視線を逸らそうとする彼女の顎を軽く持ち上げ、まっすぐに見据える。
「俺のことを、どう呼ぶんだ?」
波瑠の喉が小さく震える。
(どうしてこんなに、心臓が苦しいくらい高鳴るんだろう……)
潤んだ瞳のまま、かすかに声を震わせて答えた。
「……圭吾さん」
一瞬、圭吾の目が深く揺れる。
そしてゆっくりと笑みを浮かべ、囁いた。
「……そうだ。だが、“さん”はいらない」
彼の指が頬をなぞり、唇が耳元に近づく。
「圭吾、でいい」
波瑠の胸の奥で、何かが決定的に溶けていった。
「……無理です。ほかの人の前で呼び捨てなんて……」
波瑠は真っ赤になりながら首を振った。
圭吾は一瞬目を細め、彼女の反応を愉快そうに眺める。
そして、ふっと口元を緩めた。
「わかった」
低く甘い声が耳をくすぐる。
「……二人の時だけでいい」
その言葉に、波瑠の胸が熱くなる。
(ふたりの時だけ……私だけが呼べる呼び方……)
羞恥と嬉しさが入り混じり、波瑠はそっと唇を開いた。
「……圭吾」
その一言に、圭吾の瞳が深く燃える。
彼は彼女を強く抱き寄せ、満足げに微笑んだ。