温厚専務の秘密 甘く強引な溺愛
部屋に入ると、外の冷たい夜気とは対照的に、柔らかな灯りと暖かい空気が二人を包み込んだ。
窓の外にはイルミネーションが瞬き、遠くの街並みが星空のように輝いている。

部屋に入ると、窓の外にはクリスマスのイルミネーションがきらめき、室内の柔らかな灯りが二人を包んでいた。

ソファに腰を下ろした波瑠は、少し照れくさそうに紙袋を取り出す。
「……あの、圭吾さんに。メリークリスマス」

リボンを結んだ箱を差し出すと、圭吾は片眉を上げ、静かに受け取った。
箱を開けると、中から現れたのは上質なシルクのネクタイ。
深みのあるブルーに繊細な光沢が走り、見る角度で色合いが変わる高級ブランドのものだった。

圭吾はしばらく無言でそのネクタイを指でなぞり、ゆっくりと彼女を見た。
「……ありがとう。大事に使う。波瑠に束縛されるのも、悪くないかもしれない」

「え?……」
意味がわからず、波瑠は目を瞬かせる。

「女性が男にネクタイを贈るって、そういう意味だろう?」
「ええー?!そうなの?!初めて聞いたんですけど……」

「知っていたくせに。素直じゃないな」
「いいえ、そんなこと考えてみたこともなかったわ」

「そうか。束縛はしたくないのか」
「だって……私、されたくないし」

圭吾は低く笑い、ネクタイを首元にあてながら言った。
「……この先、されたくなるぞ」

「な、何なの、もう……」
思わず頬を赤らめる波瑠に、圭吾の瞳が愉快そうに細められる。

「やっぱり……圭吾って、本当に俺様気質なのね」
「その俺様に、縛られてみるか?」

冗談とも本気ともつかない言葉に、波瑠の胸がざわめき、視線を逸らすしかなかった。

「俺からのプレゼントもある。……開けてみろ」

箱を開けると、黒のパテントカーフスキンのスリングバックパンプス。
艶めくそれを履いた彼女の足首を思い浮かべるだけで、胸の奥が熱を帯びる。
合わせて選んだ小さめのバッグまで、完璧に波瑠を引き立てるために用意した。

この夜、彼女を飾るものはすべて、自分が与えたもの。
誰のものでもない、俺の女だと証明するように。

デザートも食べ終えた頃、圭吾が箱を差し出した。
「波瑠、靴を履いてみてくれ」
「はい」

波瑠は丁寧にパンプスを取り出し、そっと足を滑り込ませる。
「どうだ?」
「素敵……」
「フィット感はどうだ?」
「ピッタリです。ありがとう」


艶やかな黒のパテントが、細くしなやかな脚をいっそう際立たせる。
圭吾の視線はそこに吸い寄せられ、やがて大きな手がそっと波瑠の足首に触れた。

指先がすべるように添えられただけで、波瑠の全身に熱が駆け巡る。
「……似合っている」
低く落ちた声が、足首から心臓まで響き渡った。

「きゃっ!」
思わず声を上げた瞬間、圭吾の大きな腕が波瑠の体を軽々と抱え上げた。
そのまま肩に担がれ、視界がぐらりと揺れる。

「圭吾さん!?」
驚く声も、低く笑う彼にかき消される。
「……今夜は、もう我慢できそうにない」

広い背中越しに伝わる体温と、足首をしっかりと押さえる力強さ。
抗う暇もなく、寝室への扉が開かれていった。

ベッドの上にそっと下ろされ、波瑠は恥ずかしそうに身を縮めた。
その瞬間、圭吾の目が彼女に注がれる。

ワンピースの布地の隙間からのぞいたのは、新調したレースの上品なランジェリー。
淡い光の中で、その繊細な刺繍が波瑠の素肌を引き立てていた。

圭吾の呼吸が一気に荒くなる。
「……波瑠。こんなものまで、用意していたのか」
低く震える声が、部屋の空気を熱く染める。

「……はい」
かすかな返事に、圭吾の瞳が熱を帯びた。

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