私、男の子マネージャーになって、推しアイドルをお守りしますっ!
 ――奏だ!
 見慣れた焦げ茶色のショートヘアですぐにわかった。奏は大勢のスタッフたちに囲まれて、必死に頭を下げている。
 突然姿を消した俺たちの代わりに、何度も謝っているのだろう。
 俺たちはここにいるのに、奏に声は届かない。それどころか、存在にすら気づいてもらえなくてもどかしい。
 こんなとき、スマホが圏外じゃなきゃ奏に連絡できるのに……。
 懐中電灯代わりに使っていた朔良のスマホに目をやると、【圏外】の文字が消えていた。電波が復活したんだ!

「朔良、奏に電話かけていいか⁉」
「いいよ!」

 持ち主の朔良の許可をもらって、急いで奏に電話をかけた。
 ワンコールも鳴らないうちに、スピーカーの向こうから『朔良くん⁉』という奏の焦った声が聞こえてくる。
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