桜が咲く時まで、生きていたい

夏休み

__翌日__

「染島さーん、おはようございます」

「おはようございます」

「体調はどう?今日は終業式だったよね。行ってらっしゃい。それと、さっき飯島先生が学校に行く前にこっちに寄って、って言っていたわよ」

「わかりました」

言われた通り、病院を出る前に先生のところに寄る。

「おはようございます」

「あぁ、姫奈ちゃん。おはよう。今日は終業式でしょ?体に異変があったら、すぐに休むこと。わかった?」

「はい」

「じゃあ、これ私の番号」

そう言って差し出されたのは携帯電話の番号だった。

何かあればすぐに連絡しろということらしい。

「わかりました。ありがとうございます」

「それじゃあ、行ってらっしゃい」

「はい、行ってきます」

学校までは両親が交代で送り迎えしてくれることになっており、今日はお父さんだった。

「おはよう、姫奈」

「おはよう、お父さん。迎え、ありがとう」

「このぐらい、どうってことない」

家族には感謝しかない。

学校につき、教室に入る。

すると、千佳や瑠花より先に、宗一郎が姫奈の元にきた。

「姫、おはよ。今日の放課後、時間ある?」

「おはよう、宗一郎くん。放課後…」

「おっはよー!やっと夏休み!!あっれ、お邪魔しちゃった?」

そう言って割って入ってきたのは千佳だった。

ぱちっとウインクする。

(…?)

「おはよー、姫。宗一郎くん、姫借りていい?」

「瑠花ちゃん…?」

問答無用で教室の外に連れ出される。

「どうしたの…?」

「いや、さっき宗一郎くんからの放課後デートのお誘い、返事に困ってたでしょう?」

そう、姫奈は昨日から入院している。一応、飯島先生に許可をとった方がいいと思ったのだ。だが先程はいい言い逃れ方がわからなかった。

「なんでわかったの!?」

「顔に出てる」

そう言って二人でふはっと笑い合った。

「こっちはいいから、電話でもなんでもしてきていいよ」

「ありがとう!」

一旦下駄箱まで出てきて朝もらった飯島先生の電話番号にかける。

『はーい』

「あ、姫奈です。ちょっとご相談が」

『あ、姫奈ちゃんか。どうしたの?』

「それが…」

かくかくしかじかで…

『なるほどねぇ…今日はちょっと厳しいかな。もうちょっと検査しようと思ってるの』

わかりました、と言って電話を切る。

それから教室に戻って宗一郎に今日は行けないことを話した。

幸いにも、宗一郎は笑って流してくれた。

「夏休みは絶対デートしような!」

太陽のような笑顔だった。

宗一郎に姫奈自身のことを隠している罪悪感が身体の底から湧き上がってくる。

席について落ち着く。

瑠花と千佳の二人が心配そうに姫奈のことを見ていた。
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