桜が咲く時まで、生きていたい
「姫!久しぶり!!」

「体調はどう?」

元気に飛びついてくる千佳に、会って第一に姫奈の心配をしてくれる瑠花。

「姫奈ちゃん、俺たちも一緒でよかったの?」

「…楽しみ」

少し心配そうにしている春樹にワクワクしている蘇芳。

みんなが合流して、お泊まりは始まった。

みんなで別荘の中を探検して、庭で水鉄砲で遊んだり。夕方が近くなり、みんなでバーベーキューの準備をして。

男子が焼く係。女子が食べる係など、普段学校では見ることもできない一面を見ることができたり。

そう、たとえば春樹は真面目なイケメンだと思っていたが、時間を一緒に過ごしていると、だんだん振る舞いがホストのようだな、と新しい発見をしたり。まぁ、お姫様扱いのような感じだ。

そして蘇芳は肉を焼くのが上手だった。

学校中の人気を集める男子メンバー。どうやって肉を焼くのか蘇芳に聞く千佳。春樹のお姫様扱いにまんざらでもなさそうな瑠花。

新しい恋の予感…?もした。

そして、そんなみんなに置いていかれると感じている自分もいた。

でも、そんな時に限ってヒーローのように救い出してくれるのが宗一郎だ。

野菜を焼く手を止めて横に座る。

「お、それ俺が焼いた野菜」

「焼いてないで大丈夫なの?千佳ちゃんにまた言われるよ?」

「大丈夫。今は蘇芳に肉の焼き方を聞くので夢中だから。それより、なんか寂しそうな顔してたけど、なんかあった?当ててあげようか」

「え…」

「楽しそうなみんな見て、置いてけぼりされた気分になってたんだろ」

どうして、見透かされた気になるのだろうか。それは、宗一郎の言っていることがその通りだからなのか。

「姫。姫奈。大丈夫だよ。誰も姫奈を置いて行ったりしてないから」

すると、焼き方を聞いていた千佳が宗一郎に被せるように大声を出した。

「姫ーーー!!聞いてよ!こいつ教えてくれないんだけど!?」

「ほら」

思わず宗一郎の顔を見た。でもすぐに逸らしてしまった。

姫奈の目に映った宗一郎は、姫奈のことが好きでたまらない、姫奈以外には見せないようなとろける笑顔を見せていた。

でも、宗一郎の目に映った自分は、怯える女の子だった。

楽しみたいのに。この非現実的な夏のひとときを。

でも、同時に考えてしまうのだ。姫奈がいない、未来を。
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