桜が咲く時まで、生きていたい
その後、姫奈は気持ちを切り替えて楽しむことに集中した。

バーベーキューも終わり、花火に移る。

するとここで無理やり千佳と瑠花に部屋に連れていかれた。

「!?」

「いいからいいから」

部屋に入ると二人は慌ただしく動き出し、あっという間に着替えさせられた。

「えっ!?」

「うっわーめちゃ似合う」

「皮肉だけどね」

二人の言っていることがわからず頭がハテナマークに埋め尽くされる。

「ど、どういう」

二人に浴衣を着付けられた姫奈はハテナマークを頭に埋め尽くされたまま浴衣の可愛さに気を取られた。

「この浴衣、かわいい…。どうやって用意したの?」

「ちっ」

なぜか千佳が舌打ちしている。瑠花がはぁ、とため息をついて答えてくれた。

「その浴衣、宗一郎くんが用意したのよ。さすが、姫奈に似合ってる」

なんとこの浴衣は宗一郎が用意してくれたらしい。

そのことに顔が赤くなる。

姫奈が浴衣に見惚れている横で千佳と瑠花もいそいそと着替え始めた。

姫奈は白地にピンクの花があしらわれた清楚感のあるかわいい浴衣だ。それに対し千佳は黄色の大きな花が描かれている元気はつらつな千佳に似合う浴衣で、瑠花は水色の涼しげな浴衣で、クールな瑠花に似合っている。

二人の準備も終わり、庭に戻ると男子メンバーも浴衣に着替えていた。

「ジャジャーン」

そう言ってくるりと一回転してみたのは春樹。

宗一郎はというと姫奈の浴衣姿を見て固まっていた。

そして姫奈も宗一郎の浴衣姿を見て固まっていた。

「かっこいい…」

「かわいい…」

ほぼ同時に二人の口から発された言葉は、お互いに向けられた言葉だった。

完全にふたりの世界に入ってしまいそうになるが、それは外野からの言葉によって遮られた。

「うっわ。かわいい。これお前が選んだんだろ?さっすが、見る目あるね」

「…すごく似合ってるよ」

「みんなもすっごくかっこいいよ」

取り繕うように言うと、なぜか宗一郎がムッとなった。

「姫奈ちゃん、それは宗一郎にだけ言ってあげな」

どうやら嫉妬していたらしく、またもや顔が赤くなる。

台所で片付けを手伝っていたはずの羽田も出てきた。そして羽田もなぜか浴衣を着ている。

「羽田さんまで!?」

「着るつもりはなかったんだけど…。お手伝いさんが是非って断れなくて」

羽田の浴衣は紺地にクリーム色で菊があしらわれていてなんとも上品だ。

「もー、花火しようよ」

千佳が待ちきれないと言った様子で声をかける。それを区切りに花火をすることになった。

お約束の線香花火もみんなで勝負したり…。

じっとしておくのが苦手な千佳はすぐに落ちてしまい、その反対の周防は最後まで勝ち抜いていた。

その後も何度も勝負をしていたが結局千佳は蘇芳に勝つことができず悔しがっていた。

瑠花が春樹に絡まれて若干ウザがっていたのはまた別のお話…。
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