桜が咲く時まで、生きていたい
翌日、両親、そして宗一郎一家は早くも午前中から来ていた。

姫奈はやや緊張気味でお父さんにご挨拶したが、厳格そうな見た目とは違い、優しい人だった。

挨拶が終わると、姫奈の両親と宗一郎の両親とで交流が始まり、お父さん同士も仲良くなっていた。

「姫、なんか顔色悪くないか?大丈夫か?」

「あら!大変!もう、あなたが怖い顔してるからよ」

「す、すまん」

そう嫌味を言われながらも謝る宗一郎のお父さんの肩を姫奈のお父さんが励ますようにぽんぽんと叩く。ずいぶん仲良くなったようだ。

みんなお昼ご飯は持ってきているようで、そのままお昼は姫奈の病室で食べた。

午後、時間通りに瑠花と千佳もきたのだが…、なぜかその後ろには春樹と周防もいた。

「こんにちは〜」

「ごめん姫奈、こいつらに話したら行くって聞かなくて」

「…そうそう、一人でも多い方がいいでしょ…。ね?」

あちゃ、と言ったふうに隣では宗一郎が頭を抱えている。それでも、わざわざ来てくれたのに追い返すのは気が引ける。それに蘇芳の言うことももっともだ。

その時、病室の扉がまた開かれた。

「おっと、みなさんお揃いで?1、2、3…9?予定の人数より若干多い気もするが…問題ないでしょう。ご案内いたします。姫奈ちゃんは宗一郎くんと車椅子でおいで。今日はアレなようだから」

そう、今日は朝から若干体調が悪く、と言っても本当に少しなのだが、手足に力が入りづらくなってしまっている。

この部屋にはいつでも使えるように車椅子が常備してあるので、みんなが出た後に宗一郎に押してもらいながら別ルートで会議室まで向かう。

姫奈が会議室に入ると、すでに指導が始まっていた。

なんというか、スパルタである。まずは資料を渡し、そこから早口でどんどん説明している。

「要は!」

まとめに入ったようで終わるかと思ったが、今度は実践の説明に入る。

「ここからが本題だ!」

宗一郎のお父さんなどは真剣に聞いているが、じっと聞いておくことが苦手な千佳は若干退屈そうにしているが、真面目に聞いてくれている。

そして小牧先生が勢いよくこちらを振り向くのが見える。まるで獲物を見つけた獣の目だ。

「うわ…」

隣で宗一郎が嫌そうに顔を歪める。すると次の瞬間。

「ちょぉぉっといいかな?」

一瞬のことだった。目の前に小牧先生の顔が現れる。

「わっ!!」

「先生、姫を驚かさないでください」

先ほどから思っていたのだが、もしかしたら先生は指導が好きなのかもしれない。いつもはみられないほど熱が入ってる。

そっと宗一郎が耳打ちをしてくれる。

「どうやら、指導が好きらしい。どっちかっていうと、いじめに近い気もするが。ああやって日々のストレスを発散しているのだと羽田さんが言っていた」

「なぁにを話しているのかな?」

「いいえ?」

宗一郎がとぼける。小牧先生は特に気にすることもなく、車椅子の姫奈と宗一郎を前に引っ張って行った。

「いいかい?この二人が模範だ!今から…」

そうやって小牧先生の熱血指導により、その日姫奈をサポートする人が増えた。

無事に、と言っていいかはわからないが。
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