桜が咲く時まで、生きていたい
次に目覚めた時、もう見慣れてしまった天井が見えた。

ゆっくり体を起越そうとするも、なぜか力が入らない。

すると、いつのまに入ってきたのか、宗一郎が目を見開いて立っていた。そして姫奈の姿を見た途端、猛スピードで外に走って出て行ってしまった。

しばらくすると、廊下が騒がしくなり、勢いよく扉が開かれる。

その間も、なぜか姫奈の頭は霞がかったようにふわふわとしていた。

「姫奈ちゃん!」

そう言って駆け込んできたのは小牧先生だ。

先生、廊下は走ったらいけませんよ。

そう言おうとしたが、なぜか声も出ない。

「ここがどこだかわかるかい?私の名前はわかる?」

なぜか声が出ないのでこくり、と頷く。

「そうか、声が出ないか。とりあえず水を飲むといい。話はそれからにしよう。宗一郎くん、手伝ってあげてくれ」

そう先生に言われた宗一郎は姫奈の体を起こし、水を飲ませてくれる。

「…ぅあ…」

喉も潤い、口から出てきたのはそんなか細い声だった。

「…ぁりがとう」

そう言って宗一郎の顔を見ると、その顔には心の底からの安心が浮かんでいた。

「それじゃあ、説明しようか」

「はい」
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