桜が咲く時まで、生きていたい
「ごめんね、心配かけちゃって」

「ううん」

起きてからというのも宗一郎は姫奈に腕を回し、抱きついている。

いわゆるバックハグというやつだ。そして離れない。

さっき先生に言われたことが頭をよぎる。

『しばらく、学校には行かせてあげられないよ。それと、悩みの種は早く解決しなさいね』

それから数日、療養しながら考えて、ついに腹を括ることができた。

「宗一郎くん、やっと準備できたよ。みんなに話そうと思う。明日学校にも行っていいって言われたから、隣にいてくれる?」

「もちろん」

即答だった。

翌日、学校では、車椅子に座った姫奈とその横に立つ宗一郎たちはクラスの前に立っていた。

車椅子に乗った姫奈を見たクラスメイトたち、そして登校中にこの姿を見た生徒たちがザワザワとしている。

「はいはい。みんな静かにして」

立花先生が教室を静かにしてくれた。

ふぅー、と深呼吸をして気持ちを落ち着ける。

「まずは、こんな姿でごめんなさい。実は…実は、私はある病気にかかっていて…」

そこから、途中息を詰まらせながらも今の姫奈について包み隠さず話した。その際、横に宗一郎がいてくれたことはとても精神的な支えになった。

病気の状態、普通ならもう完治していたとしてもおかしくないのに、治っていないことから、非常に珍しいケースで治療方法も模索的であること。病気の症状など。

話終わる頃には教室が重い空気で満たされてしまった。

「ということなんだ。別に、みんなは気にしなくていいから、今まで通り接してほしい」

この話を聞く前から知っていた何人かは特に表情を変えることもなく、むしろ姫奈を頑張った、という目で見てきていた。

この空気感ではどうしようもないので、元凶である姫奈は一旦保健室に移動することになった。

宗一郎が車椅子を押してくれる。

「この後授業でしょ?」

「いいよ。どうせ、あのみんなの様子なら授業どころじゃない」

保健室に着くと、お馴染みの先生が出迎えてくれた。

「あら、姫奈さんいらっしゃい」

好きに過ごして、といって先生は仕事に戻っていった。

しばらくして、保健室の扉がコンコン、とノックされた。
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