桜が咲く時まで、生きていたい
卒業式当日__________

各々家を出て、学校に来た。

姫奈は病院から来るので、到着までまだしばらくかかるだろう。

「ついに今日がやってきたねー」

「そうだね」

「僕たちのお姫様はまだかな」

「…写真とるって約束した」

「おはよう」

宗一郎もきて、姫奈以外のメンバーは揃った。

早くもツーショットなどを撮っている。

不意に、宗一郎のスマホから着信音が鳴り響いた。

嫌に鳴り響くスマホに、一同が静まり返った。

「はい、もしもし_________」

卒業式が、始まる。

その場に姫奈の姿はない。

あの時の電話は、小牧先生からの電話だった。

どうやら、発熱したらしく、小牧先生にストップされたようだ。

自分のことは心配せず、ちゃんと卒業式に出席してきて、との伝言も受け取った。

だから、みんなは今、ここで堂々と歩いている。

伝言のほかに、こうも言われた。

『宗一郎くん、今回ばかりは、本当に…。だから、卒業式が終わったらすぐにこちらにきなさい』

このことは、他のみんなも知っている。

正直、気が気ではなかった。それは、他のみんなもそうだろうけど、姫奈からの伝言があったから、ちゃんと出席した。

桜の下での写真は撮らなかった。

どうしても、姫奈も一緒に撮りたかったから。そう思っていたのはみんな同じだったようで、卒業式が終わるとすぐに病院に向かった。

普段はなんとも思わない病室までの道のりが、今日はとても遠く、感じる。

それは、もう手が届かないようで、怖かった。
< 74 / 77 >

この作品をシェア

pagetop