桜が咲く時まで、生きていたい
「そつぎょうしき…でたかったなぁ…」
卒業式当日、もう式は始まっている時間だ。
それなのに、姫奈は病院のベッドから動けずにいる。なぜなら、発熱してしまったためだ。
涙が込み上げてくる。溢れて溢れて、止まらなかった。
「姫奈ちゃん…」
そこからは、短時間のうちに転がり落ちていくようだった。
頭がぼーっとする。何も、わからない。ただ悔しくて、虚しくて、やるせなくて。
そんな感情で胸がいっぱいになって涙が止まらないのは感じた。
止めようと思っても、止められなかった。
次第に過呼吸を起こし、誰かに宥められ、呼吸が安定する。
転がって、転がって、転がって…。
ピッ…ピッ…
「先生…姫奈ちゃんは…」
「…脈が、弱まっている。ご両親を、呼んでくれ」
姫奈にはわかっている。だって、自分の体なのだ。限界が近いことぐらい、わかっている。
「それにしても、よく耐えたよ。痛みも、酷かったろうに。思うように体を動かせなくなっていって、辛かったろうに。それでも君は、決して弱い姿を見せようとはしなかった。もちろん、涙していたのは知っていたけどね。」
小牧先生は、酸素マスクが付けられ、横になっている姫奈以外にいない病室で泣いていた。
「ごめんね…なにも、してあげられなかった」
うっすらと聞いていた姫奈は思う。
そんなことない、小牧先生がいてくれるだけで、心が軽くなった、と。
次に意識が浮上した時、周りが騒がしかった。何を言っているか、うまく聞こえない。
「いくな!!」
今まで靄がかかっていたものが一気にパッと晴れ、宗一郎の声が姫奈の意識に入り込んできた。
ドクッ、と心臓と共に体が動き、目も開いた。
そこには、涙に顔を濡らす、大好きな、大好きな人たちがいた。
お父さんにお母さん、宗一郎に瑠花、千佳、凛。そして春樹に蘇芳。おまけに、宗一郎のご両親、奥には小牧先生と羽田さんもいた。
目を開けた時に大好きな人たちがいて、幸せだ。ふふっ、と笑う。
ピッ…ピッ…
そこで、今まで動かなかった腕が、動いた。久しぶりに動かすので、なんだか不思議な感じだ。
一番近くにある宗一郎の手を握る。力を入れ、引き寄せた。宗一郎の耳元に、だいすき、と囁いて微笑む。
ついでに、ほっぺにキスもしてあげた。
やっぱり一瞬だったみたいで、すぐにパサっと手が落ちる。
「みんな、こんなわたしに、やさしくしてくれて、ありがとう…ずっとずっと、だいすきだよ」
精一杯の微笑みと共に。
あぁ。だめだ…もっと伝えたいことはあるのに。そうだ、あれ、びっくりするかな…。小牧先生に託してあるから、大丈夫だとは思うけど。
「なんで、そんなこと言うんだっ!!お願い、お願いだからっ!!」
そんな顔しないで。必死に、いかないでと叫んでいる。
「姫奈ちゃん!!」
「姫奈!私たちを置いていくつもり!?」
「だめだよっ!」
みんな、ごめん、返事したいけど、喋れないんだ。言葉を発する力も無くなったらしい。
もどかしい。悔しい。もっと生きたい。
でも、幸せだったよ。本当に。こんなにいい友達に恵まれて、出会えて。もっと普通に過ごしたかったな…
「…しあわせだったよ…みんなは、もっとながいきして、しあわせにね…?」
それが、最後だった。
ピッ…ピ____________。
卒業式当日、もう式は始まっている時間だ。
それなのに、姫奈は病院のベッドから動けずにいる。なぜなら、発熱してしまったためだ。
涙が込み上げてくる。溢れて溢れて、止まらなかった。
「姫奈ちゃん…」
そこからは、短時間のうちに転がり落ちていくようだった。
頭がぼーっとする。何も、わからない。ただ悔しくて、虚しくて、やるせなくて。
そんな感情で胸がいっぱいになって涙が止まらないのは感じた。
止めようと思っても、止められなかった。
次第に過呼吸を起こし、誰かに宥められ、呼吸が安定する。
転がって、転がって、転がって…。
ピッ…ピッ…
「先生…姫奈ちゃんは…」
「…脈が、弱まっている。ご両親を、呼んでくれ」
姫奈にはわかっている。だって、自分の体なのだ。限界が近いことぐらい、わかっている。
「それにしても、よく耐えたよ。痛みも、酷かったろうに。思うように体を動かせなくなっていって、辛かったろうに。それでも君は、決して弱い姿を見せようとはしなかった。もちろん、涙していたのは知っていたけどね。」
小牧先生は、酸素マスクが付けられ、横になっている姫奈以外にいない病室で泣いていた。
「ごめんね…なにも、してあげられなかった」
うっすらと聞いていた姫奈は思う。
そんなことない、小牧先生がいてくれるだけで、心が軽くなった、と。
次に意識が浮上した時、周りが騒がしかった。何を言っているか、うまく聞こえない。
「いくな!!」
今まで靄がかかっていたものが一気にパッと晴れ、宗一郎の声が姫奈の意識に入り込んできた。
ドクッ、と心臓と共に体が動き、目も開いた。
そこには、涙に顔を濡らす、大好きな、大好きな人たちがいた。
お父さんにお母さん、宗一郎に瑠花、千佳、凛。そして春樹に蘇芳。おまけに、宗一郎のご両親、奥には小牧先生と羽田さんもいた。
目を開けた時に大好きな人たちがいて、幸せだ。ふふっ、と笑う。
ピッ…ピッ…
そこで、今まで動かなかった腕が、動いた。久しぶりに動かすので、なんだか不思議な感じだ。
一番近くにある宗一郎の手を握る。力を入れ、引き寄せた。宗一郎の耳元に、だいすき、と囁いて微笑む。
ついでに、ほっぺにキスもしてあげた。
やっぱり一瞬だったみたいで、すぐにパサっと手が落ちる。
「みんな、こんなわたしに、やさしくしてくれて、ありがとう…ずっとずっと、だいすきだよ」
精一杯の微笑みと共に。
あぁ。だめだ…もっと伝えたいことはあるのに。そうだ、あれ、びっくりするかな…。小牧先生に託してあるから、大丈夫だとは思うけど。
「なんで、そんなこと言うんだっ!!お願い、お願いだからっ!!」
そんな顔しないで。必死に、いかないでと叫んでいる。
「姫奈ちゃん!!」
「姫奈!私たちを置いていくつもり!?」
「だめだよっ!」
みんな、ごめん、返事したいけど、喋れないんだ。言葉を発する力も無くなったらしい。
もどかしい。悔しい。もっと生きたい。
でも、幸せだったよ。本当に。こんなにいい友達に恵まれて、出会えて。もっと普通に過ごしたかったな…
「…しあわせだったよ…みんなは、もっとながいきして、しあわせにね…?」
それが、最後だった。
ピッ…ピ____________。